7つのメガトレンドから考える日系メーカーのあり方
昨日面白い記事を見つけたので1日遅れですがご紹介。
今後30年で世界がどういった変化をしていくかをまとめた記事ですが、この先30年で下記のようなトレンドが顕著になるだろうと予測されています。
1.加速する人口増加-2050年に人口90億人に-
2.枯渇する自然資源 -現在の生活スタイルを続けるには地球2個分の資源が必要-
3.高齢化する社会
4.リアルとネットの融合 -不可欠なインターネット-
5.個人、市民、NPOの台頭 –Power to the people, power of the crowd-
6.変わる組織 ピラミッドからネットワーク型へ
7.Happyが中心の産業の進化 –マーケットの成熟とサービスの進化-
詳細はリンク先を見て頂ければ、分かりやすくまとめられています。
これから30年、世の中は大きく変わっていくんだろうなぁと思いますが、個人的にはやはり日本の行く末が気になるところです。特に自分も働いているモノ作り企業。日系メーカーですね。特に2011年度はパナソニック、ソニー、シャープといった名だたる企業が巨額の赤字を計上することになりました。地震や洪水、パナソニックなんかはサンヨー買収の影響もあると思いますが、それでもかつて栄華を誇った日本ブランドが韓国を始め新興メーカーに圧倒されているのは、誰の目にも明らかです。
果たして30年後、日系メーカーは生き残れるのでしょうか。そのことを考える上で特に重要なのは、上記のまとめでいうところの、
6.変わる組織 ピラミッドからネットワーク型へ
7.Happyが中心の産業の進化 –マーケットの成熟とサービスの進化-
であると考えます。
日系メーカーがこれからの時代を戦い抜く上で、自分が考えるキーポイントは下記の3つ。
1. 徹底した経営のスリム化と効率的な組織への転換
2. グローバル社会で通用する経営者の育成
3. 人の感性に訴えかけるマーケティング戦略
1.に関して言えば「変わる組織 ピラミッドからネットワーク型へ」そのもので、大企業の抱える中央集権体制をもう少しフラットにしていく必要があるかなと。今までの時代(といっても90年代前半までの話ですが)は基本的に景気は右肩上がりで、着実に生産活動を続けていればそれに応じて売り上げや利益もついてくる時代でした。そういった時代において、一人一人に明確に仕事が割り振られ、情報を集中管理できる組織のあり方はまさに理想的です。やればやるだけ結果がついてくるのですから、着実性、確実性が一番大事な世界なのです。
それに対して、市場規模は縮小していて、変化も大きいこの時代。更に商品のコモディティ化も進んでいるので、決まったことをこなし、着実に新しいスペックを追加していったり、地道なコストダウン活動を続けてもなかなか顧客に振り向いてもらえない。そうなると、企業の統率以上に「個々人が独創性を発揮すること」や「スピード感を持って仕事をすること」の重要性が高まってきます。しかしながら、独創性やスピード感は、強固な管理体制下ではなかなか生まれません。上下関係がはっきりとしている組織では、どうしても稟議に時間がかかり、職制の意向を気にしてしまいオリジナリティ溢れるアイデアも出にくくなってしまいます。その点、ネットワーク型の組織ではリーダーは調整役にとどまり、社員は自主性が尊重されるため色々なアイデアを提案することができ、それを必要なメンバーで議論してアイデアを広げることが出来る。
そして実はこの組織のあり方は「2. グローバル社会で通用する経営者の育成」にも通じてて、今までの上司に従っているいい子ちゃんでは、やはり今後生き残るための会社の舵取りをしていくことは困難極まりないことです。下っ端の頃から自由な環境で議論させ、広い視野を持って仕事に取り組めることは人材の成長を促す上でも大変効果的なことです。GEではCEOの後継者候補には必ず新規事業のマネジメントを経験させるといった話も聞いたことがありますが、自分でプロジェクトに積極的に関われるという点で近しい効果が得られるのではと考えています。
そして最後に「3.人の感性に訴えかけるマーケティング戦略」について。このことを考える上では「Happyが中心の産業の進化」という観点が非常に重要になります。産業は「Material→Product→Service→Happiness」という流れでシフトしていくという理論ですが、まさに社会は今モノに「Happiness」を求める時代に変容してきています。例えば、iPadのヒットについて考えると、Appleのマーケティング戦略が見事顧客の思い描く「Happiness = 暮らしが劇的に便利なる」にマッチしていると想像させたことが成功の一因かと思います。「いつでもどこでもすぐにWebを閲覧できて凄く快適、ハッピーだ!」というイメージですね。別にSony Tabletでも同じことが出来るのですが、Appleは故ジョブズ氏のプレゼンを含めてその「Happiness」の見せ方がとても上手い。(「ストーリー」と言い換えられることもありますが) 最初に紹介した記事では「今ハッピーの産業にいるのはディズニーランドだけ」とありますが、決してそうではなく、今後のモノ作り企業が目指すべきところもまさに「ハッピーの産業」であり、それを実現するのは製品そのものというよりは「マーケティング手法」だと感じるのです。
長々と綴ってしまいましたが、要するに今世の中に起こっているメガトレンドを把握して、それに応じて日系メーカーは体質を劇的に変えていかなければならないというのが今回の愚考の結論です。特にマーケティングの部分は、コモディティ化した商品を差別化していく上で非常に重要になっていくことでしょう。
幾分素人なもので具体的な話に踏み込めないのがもどかしいですが、日系メーカーの復興は非常に興味があり、そして回復を願って止まないという個人的な思いもあるので、折に触れて今後の生き残りをかけた戦略について思考を巡らせていきたいと感じる次第であります。
以上。