「超転職術」を読んだ感想
Kindleの月替わりセールをサーフィンしてたら気になった本があったので購入して即日読了した。
そもそも自分はあまり「○○術」という名のつく本は何かチープな感じがしてあまり好きではないのですが、この本は小手先の術だけではなく、キャリアを考えるにあたって結構細かいレベルまで解説をしてくれていたので面白く読めました。
転職するしないは個人の価値観によるもので、ずっと同じ会社で働きたいと思う安定志向の人もいれば、色々な会社で経験を積んでスキルアップしたい人、今の職場が耐えられず会社を変わりたい人など、色々な人がいると思います。ただ、どんなタイプの人でも「キャリアの棚卸し」をすることはとても重要だというのが自分の意見で、棚卸しをするにあたってもこの本は役に立ちます。職務履歴書の作成というのはキャリアの棚卸しに他ならない訳ですが、自分の「経験」と「ビジネス筋力」がどこにあるかに着目してスキルを分析し、どういった企業がどういう人材を求めているのかを調べて自分のスキルと比較して行くうちに、自分に何が出来て何が出来ないか、自分のような人材がどういった会社に求められて、どういった会社には合わないのかといった点が見えてくる訳です。
自分の場合は今までのキャリアの振り返りは定期的に行ってきましたが、あまり1つの部署に腰を据えて極めるまで1つのフィールドで働き続けるということをしていないため、どうも「専門性」がないというのが自分の悩みでした。しかし、「専門性」というとスペシャルなスキルのような響きがあり一気にハードルが高くなりますが、企業の人材ニーズがどこにあって、自分の経験から得られたスキルは何で、その「ビジネス筋力」はどのレベルかという考え方をしていくと、自ずと自分の「専門性」についても答えが出てくるのではないかと感じます。
例えば、組織内での調整力とか、バックオフィス業務の経験とか、それだけ言っても専門性たりうるのか?という疑問は拭えませんが、それが「自立して業務を遂行し、自ら工夫や企画にも取り組める(ビジネス筋力レベル4)」レベルであれば立派な専門性ですし、「これまでにない新しい戦略に取り組める(ビジネス筋力レベル5)」であればキラリと光る人材と認められることでしょう。それを証明するエピソードや経験があれば、学校に行って資格なんて取る必要もない。自分の中で「専門性」を語るのであれば資格などの肩書きや、4、5年の実務経験が必要なのではと思っていましたが、結局は自分がどういう風に仕事に向き合ってるか次第で、スキルとしてはコモディティであっても、筋力レベルを深めていくとオンリーワンになりうる専門性になる可能性があるんだなと、当たり前のことかもしれませんが改めて思いました。
また、個人的には企業の成長ステージ(草創期、拡大期、変革期・多角期、成熟期)ごとにどういう人材が求められているのかという分析が興味深かったです。仕事探しをするために考えるべきはWill×Canだとは良く言いますが、それに加えて活躍を望むのであれば、自分のような人材がどういったタイプの企業から求められているのかというのは把握しておかなければいけません。また、自分のやりたい仕事を考える上でも、どういったステージにある会社で働きたいかをあらかじめ検討してみると大分深堀が出きるんじゃないかと。今書いたようなことを総合的に考えていくと、きっと自分が進むべき方向性というのが見えてくるような気がします。
というわけで、自己啓発書としては良書だと思います。
10年後に後悔しない転職の条件 「転職のバイブル」2014年版成功の定石97
- 作者: 佐藤文男
- 出版社/メーカー: 経済界
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僕がみんなに聴いてほしいミスチルの名曲10選
最近ミスチルの名曲まとめ系が急にホットエントリ入りし出している。
ミスチル好きの僕が選ぶミスチルの名曲トップ10!〜90年代編 - ログキョウ
ミスチル好きの僕が選ぶミスチルの名曲トップ10!〜2000年代編 - ログキョウ
そこまでミスチル好きでもない僕が選ぶミスチルの名曲 - くりごはんが嫌い
ミスチルのおすすめ好きな曲ランキングベスト100 - あしみの 日記
小学生の頃からかれこれ20年くらいミスチルファンの自分としてはこのムーブメントにのらずにはいられないということで、自分のランキングもつくってみる。あえて「みんなに聴いてほしい」という視点で選んでみたので、出来るだけシングルカットされていない曲を優先してみた。ま、アルバム曲でもみんな有名な曲なので知ってる人ばかりだと思いますが。
10位 REM
ミスチルでは割と珍しい、全力のロックナンバー。新しめとはいえ配信されてから1年以上経ちますが、最近とてもはまってます。この手の曲では#2601が好きなのですが、上記のランキングの中で既に取り上げられてたのであえてこっちを選んでみる。PVもまたかっこいいんですよこれが。
Mr.Children「REM」Music Video - YouTube
9位 Pieces
トリプルA面でかの名漫画の実写版僕らがいたの主題歌であるにも関わらず、あんまり周りで話題にならない気がするのでピックアップ。実はライブでは一度も披露されていないらしい。自分の中ではこの曲をまだ解釈しきれてなくて、失恋の曲なのか、恋人を亡くしてしまったのか、恋人との関係に何かしら踏ん切りをつけようとしているのか、分からない。中にはミスチルの今後を暗に示唆しているという人もネットで見かけたり。ただ、曲自体はとても切ない。それでいて「いつか描いたやつより本物にしよう」という前向きな終わり方。
8位 Simple
もし自分の結婚式で何かミスチルの曲を1曲歌わなければいけないことになったとしたら、これを歌いますよね。ミスチルらしい王道のラブソング。聴けば良さが分かるので何も言うことはない。コメントもシンプルに。
7位 ファスナー
さっくりとした曲の雰囲気とは対照的になかなか深みのある曲。人には誰にもファスナーと言いますか、表に見せない隠れた部分があって、それは恋愛においても同じであるということ。自分からスカートのファスナーを下ろしたという生々しい日常の描写から、心の中という日常であって日常では見えない部分に話を持っていく表現手法は見事。
6位 Paddle
勇気をもらえるミスチルの曲と言えば誰もが終わりなき旅をあげると思いますが、自分はPaddleに同じくらい勇気をもらいました。解説不要の名曲。新しい記号を探しにフラスコの中に飛び込むのです。
5位 Youthful Days
シングル曲で1つだけ好きな曲を選べと言われると、たぶんこれを選ぶ。この曲が発売したのは高校時代のことでしたが、授業が終わってから部活をサボってすぐにCD屋に直行して、わくわくしながら家のコンポでこの新曲を聴いたのを今でも鮮明に覚えてます。
Mr.Children「youthful days」Music Video - YouTube
4位 安らげる場所
とても美しく穏やかな曲。夕暮れの町で恋人と黄昏れる情景が目に浮かんでくるようです。4分に満たない短い曲で、歌詞もとても短い。それなのになんでこんなに聴いた後に余韻がこんなに長い間残るのか。まったくミスチルを象徴するような曲です。
3位 Forever
ミスチルで別れの曲と言えば『Over』が有名ですが、2000年代にアルバム『I Love U』で『Candy』という曲が出されたためミスチルの失恋ソングの双璧は自分の中でこの2つでした。しかし、2010年代に入った直後に出会ったこの曲にその双璧が乗り越えられ、今自分が一番身にしみて感じる失恋ソングがこれ。韻の踏み方まで完璧。「君の好きな僕を演じるのはもう演技じゃないから」ってとこが一番好きなんです。
『Forever』 Mr.Children TOUR 2011 "SENSE" - YouTube
2位 彩り
全日本の悩めるサラリーマンに送りたい。きっとこれを聴きながら繰り返す日常を耐えている人たちも多いはず。自分たちのした単純作業が世界を回り回って笑顔をつくっていく…まさに自分たちが働く理由を自然に歌い上げてくれる普遍の名曲。
Mr.Children「彩り」Music Video - YouTube
1位 あんまり覚えてないや
本当に大好きな曲。両親が歳をとっていくにつれて、3番の歌詞がとても身にしみてくる。けだるい雰囲気のメロディにのせて1番、2番でたわいもないことは覚えてないと言い放ち、それでいて最後にそれでも大切なことは覚えていると確認してくれる。この対比がなんとも切ない。親に歌ってあげたい。
Mr.Children あんまり覚えてないや - YouTube
以上名曲10選でした。いやしかし10個に絞るのってとても難しい。色々出してみてなくなく削っていきましたが、どうしてもあきらめきれない曲があるのでそれだけ紹介しておきます。
番外編1 手紙
アルバム深海より。個人的には安らげる場所と同じ雰囲気を感じますが、こちらは遠き日の恋人を思い返す切ない曲。メロディラインが綺麗なのでアカペラで歌うととても綺麗だと思う。
番外編2 Image
アルバム『DISCOVERY』より。このアルバムは好きな曲がとてもたくさん収録されているのですが、その中でも特に好きな曲の1つ。歌詞も音楽ともとても壮大ですべてを包んでくれるよう。「時代はいつでも急ぎ足で生きて行くことの意味は〜」からの盛り上がりが必聴。
選曲の傾向を見てると我ながらやはりバラードとかミディアムテンポの曲が多いですね。あとは昔からのファンではあるものの、2000年代以降のミスチルが好きみたい。これは一番多感だった中学高校時代が2000年前後で、曲が自分の思い出とリンクしている部分も多いからでしょう。
今回は多くなりすぎないよう無理矢理絞りましたが、他にも名曲ばかりのミスチル。また別の機会に違った形で他の曲も紹介したいと思います。
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日本人の9割に本当に英語は不要なのか?
昔から良くある話なのですが、次の記事を読んでふと思うところがありまして。
「日本は英語化している」は本当か?――日本人の1割も英語を必要としていない / 寺沢拓敬 / 言語社会学 | SYNODOS -シノドス-
このレポート内では、統計データをもとに実際に日本人で英語が必要な人は全体の何%くらい存在するのかを分析して、その割合を1割以下と結論づけ、更に教育者や経営者に対して『地に足の着いた政策を』と提言しています。
仕事で英語を「よく使う」と回答した人は回答者全体のわずか1.0%、「時々使う」と回答した人は5.1%で、合計しても6.1%と1割に満たない。就労者サンプルを分母に同様の計算をしても、やはり1割は下回る。常識的に考えても、「時々使う」と回答した人すべてを、高度な英語を使う人に含めるのはかなり無理があるだろう。したがって、安河内氏ばかりか、水野氏ですらしぶしぶ認めていた「高度な英語を使う人は1割」という認識でさえも、少々多めに見積もり過ぎであると言えそうである。
(中略)
もちろん、今後ますます英語教育が重要になっていくのは間違いない。学校英語教育やビジネの英語化も、いままで以上に発展が求められるだろう。しかしながら、現代の英語使用ニーズの低さは、無視してもよいほどには「改善」していないこともまた事実である。「みんなに英語が必要」などという空想的な社会像をいたずらに描くのではなく、日本社会の実態をきちんと見据えて、地に足の着いた教育政策・英語教育論・経営戦略を練っていかなければならない。そのヒントのためにも、たとえば政策立案者や教育研究者、経営者は、社会統計と歴史をきちんと直視しなければならない。
確かに現状をもとに分析すると割合は低くなり、英語ってみんなが思ってるほどニーズはないということは可能かもしれませんが、果たしてこのストーリーは妥当と言えるのでしょうか。自分はそうは思いません。
そもそも日本社会は英語が必要ないように出来上がっている
まず、今の状況を調査してどれくらいの人が英語を必要としているかを結論づけるのは英語必要不要論の論点から少し外れます。なぜなら、『英語が必要』と主張している人たちの多くは、『今すぐに必要』というよりは、『今までよりもいっそうニーズが高まってきている』という考えを持っている人が多いから。この点については、引用したレポート内で2006年から2010年で英語を使用している人は増えるどころか減っているという分析により否定されていますが、2010年から2014年の変化が見えないのと、仮に増えていないとしても、それは単に日本社会がグローバル化に対応できていない(=英語を使わずになんとかしのごうとしている)ということを立証する1つの根拠になりうるかもしれません。
※レポート中では減少の原因について景気の影響を引き合いに出していますが、個人的にいまひとつしっくりとはきませんでした。
日本という社会は内需が依然大きいため、グローバルな規模で取引を行い大きな利益を上げている会社は、全体の数と比較するとそんなに大きくないと思います。(調べたわけではないので想像です。)旅行にしたって未だ添乗員付きのツアーで行く人もそれなりにいますし、外国人訪問者も増えているとは言っても西欧の比ではありません。なので、日本国内にいると、諸外国の人たちと比べて英語を使う機会は圧倒的に少ない。そんな社会で生きてるので、もしかしたら英語が必要なのは1割に満たないかもしれない。これは事実であり、否定は出来ないことかと思います。
英語は何のために必要なのか
が、今の社会を生きる上で英語が不要というのは、英語の勉強が不要であるということを証明するものでは決してありません。なぜなら、日本人にとって英語というものは、可能性を広げるために学ぶものであるからです。
遅かれ早かれ、内需が枯渇してどの企業も世界全体を市場として捉えなければいけない時代が必ずやってくると思います。もしかしたらもう既にそのときがやってきているのに、みんな無視しているだけかもしれない。自分がいつも疑問に思うのが、『起業しました』という身の回りの人たちが、ほとんどのケースで市場を『日本国内』に限定してビジネスを開始していること。ビジネスを開始するのがまずは自国というのは他の国でも同じかも知れませんが、世界展開を考えている経営者の数を比較すると、日本以外の国の方が多いのでは?と勝手に思ってます。英語が出来ないと、自社サービスの拡販にも足かせをはめることになってしまいます。
もっと個人レベルのことに言及すると、例えばビジネスの理論などは海外の方が先行しているケースが多いのにそれをタイムリーに学べない、日本ではなかなか情報の得にくい国際ニュースを海外誌はかなり細かいレベルで報じているのに、それを読めないなどの課題もあります。これをビジネスチャンスと見て、『海外の情報をいち早く届ける』をコンセプトにニュースを配信しているウェブ媒体もたまに見かけますが、すごく限定的な情報を日本人好みに改変して報じていたりしがちなんですよね。原文にあたる方が自分のためになることは間違いないと思います。プライベートにおいても、海外の友達をつくったり、旅行代理店を通さず自分で全部アレンジした個人旅行を楽しむためには英語が必須です。
このように、英語が出来るといろんな可能性が広がるというのは事実としてあって、自分は英語を学ぶべき意味はここにあるという風に考えています。
現状を例えると、『池に魚がいっぱいいるのに釣り竿をもっていないから魚が釣れない(でもスーパーに行けば魚は置いてある)』という状況に日本は面しているのではないでしょうか。
とはいえ英語が出来れば言い訳ではない
だからみんな英語を学ぼう!と言いたいところですが、自分は別にそこまで思っている訳ではありません。英語というのはあくまでコミュニケーションツールであって、大事なのはコミュニケーションを行う自分自身の知識や人間性を深めることだと思うから。
ただ、海外で駐在員として働いていると、日本人は英語が出来ないことでなんて損をしているんだ!と感じる場面が多々あります。仕事でも自分の相手先の部署は英語が堪能出ない人がほとんどで、仕事をするのにかなり苦労されている印象があります。電話した話せばすぐに解決する話を英語メールで何度もやり取りしたり、英語が出来ないことで会議が長引いたり、英語が出来ない人の穴を埋めるために人を増やしたり…これらって本当に非効率ですよね。
英語が出来ないことによる問題点をしっかりと分析しないまま流行にのっかって英語教育を広げていこうとするのには自分も違和感を覚えますが、それでもやはり英語教育の改善というのは日本に求められることだと思います。少なくとも、読み書き中心の英語教育だけでもなんとかならないものか…。
以上、雑感でした。
『西洋美術史入門』を読んだ感想
最近、旅行にもっと深みを持たせたいと思い、西洋美術史をかじり始めています。
だいたい月1くらいのペースで旅行をしている自分ですが、大きな観光地に行くとほとんどの場合美術館があります。有名なところはとりあえず行ってみるのですが、いつも絵を見ても、「ふーん、きれいな絵。」とか、「あー、世界史の授業でならった有名な絵。」とか、そういった表面的な感想しか持てないんですよね。で、これでは旅行の楽しみ、というこヨーロッパに住んでいる楽しみが半減してしまうという恐れから今更ながらちょっとずつ勉強をしていっているのです。
西洋美術史といえばこの1冊、ということで多くの方が推薦しているのを見て購入してみました。
「美術史」という切り口
この本は単純に絵画を説明するのではなく、「美術史」、つまり「歴史」と「絵画」をひも付けながらそれぞれの絵画の時代背景を解説していくという切り口です。高校のときに世界史、大学のときにも美術史の授業をとっていたにも関わらず全く覚えてないのですが、それぞれの絵からそのときの時代背景を読み取ることが出来る、ということにはっとさせられました。
高利貸しで外国へと赴く子息の安全を祈って「トビト書」に倣った「トビアスと天使」の絵画が流行ったとか、権力を持つのが教会から貴族、商人に移行していくのにつれて宗教的要素を含んだ絵ばかりだったのが日常的な絵が増えていったりだとか、歴史と絵画を照らし合わせながら見ていくのって凄く面白い作業だなーと思いました。
個人的に好きなのは印象派以降
とはいえ自分はまだまだそういった「美術史」的な見方はうまく出来ず、どうしても絵の持つ雰囲気に目がいってしまうのですが、やはりいいなーと感じるのは印象派以降の絵画でしょうか。この本にも「日本で人気の印象派」といった記載があって、やっぱり自分も日本人なんだなー…と改めて思ったりもしましたが、モネの絵は見ていて心が温たまります。第四章では技法についても解説があり、適当に印象を描いてると思ってたら実はそんな技巧が使われていたのかー!と感心しました。キャンバスから黒を取り除き、明度を下げないために混色を避ける。混色せずに原色を隣に置くことで、遠くから見ると望み通りの色になる…なるほどですね。
印象派もそうですが、個人的にフォーディズム、キュビズムというジャンルも好きで、ピカソはもちろんマティスに興味がある今日この頃です。ダンスとか、赤い食卓とか、どこか狂気じみてて興味を惹かれます。あとムンクも好きなのですが、ムンクはどこに分類されるんですかね。この本では解説されていませんでしたが。
マティス『ダンス』
マティス『赤い食卓』
ムンク『Evening on Karl Johan Street』
現代社会において「絵」の持つ意味とは
識字率の低かった昔は何かを説くのに絵画が重要な役割を持ちましたが、もちろん今は識字率どころか大学全入時代、中世の時代とは絵の持つ意味が大きく異なるというのはこの本でも述べられているポイントです。
ということは、誰もがネットなどに自由に投稿できる時代にあたっては、それまでの美術にはなかった問題に現代美術は直面していることになります。
ひとつは、誰もがネットなどに自由に投稿できる時代にあっては、芸術家の「プロ」と「アマ」の区別が失われていくという点です。(中略)
もうひとつは、識字率が低い時代において絵画が最大のメディアだったような、伝達手段としての必要性が失われつつあるという点です。美術は当初与えられていた存在理由をほとんど失い、純粋に趣味的な表現の場、自己表現のツールとなっているのです。
と述べられているように、現代にあたって絵画は趣味あるいは商用利用が主な目的になってきているのかなと。最近日本では○○展というイベントが良く開かれていますが、今まさに活動をしている芸術家たちの自己表現の場というのは、今どれくらいあるのでしょうか。自分の全然知らないフィールドなので、もしかしたらそれなりに用意されているのかもしれませんが、決して多くはないんじゃないかなーと想像しています。それこそウェブ媒体の方が多そうなイメージ。
ただ、日本のマンガや萌え絵も芸術や美術と呼んでいいのかは分かりませんが、昔とは性質が異なるサブカルチャーが草の根でたくさん広まっています。それらが何故広まるかというと、人々の心に驚きや感心を与えるからでしょう。
現代における「絵」ないし「美術」の持つ意味というのは、やはり「人の心を揺さぶる」ことだと自分は思います。画一的な暮らしを送る人たちの心、ちょっと疲れた現代人の心をがつんと揺れ動かし、別の世界へと引き込んでいく、何か。「絵」はそれを与えることが出来るツールです。
こんな時代だからこそ、「絵」の重要性は高まっているのではないでしょうか。心の豊かさを取り戻す、そんなことを至上命題にしてもいいかもしれませんね。
なんて素人の戯れ言です。
2014年も半分過ぎたので振り返りを行ってみる
いつの間にやら7月に入り、2014年も半分が過ぎてしまいました。
ことあるごとに言っていますが、本当に時の流れが早い。特に25歳を過ぎてからが留まることをしらない早さで時が駆け抜けていっている気がします。たぶんこの流れは止まらなくて、すぐに30歳になって、気がつけば40歳になり、50歳になり、60歳になり、死が間近になっているのでしょうね…。
と少し暗くなってしまいましたが、半年過ぎたので年初に立てた計画の進捗確認とローリングを行おうと思います。
こちらのエントリ
謹賀新年2014 - オラニエ日記
に書いた通り、今年の目標として次の4点を設定しました。
- 仕事で対外的にアピールすることができる成果を残す。
- プライベートプロジェクトを立ち上げて、アウトプットをこのブログで報告する。
- 旅行で新しく7カ国を訪問する。
- オランダ語を日常会話が出来るレベルにまでもっていく。
それぞれどんな状況かというと、まず1については今のところ順調にプロジェクトを進めることが出来ています。今年は今までと比べて結構大きなプロジェクトをもらうことが出来たので、業務よりプロジェクト優先できっちりと成果を残したく思っています。恐らく今計画していることを実現できれば、自信にもなるし、対外的にアピールもしやすくなるはず。なので今のところは良好。残り半年やりきるだけ。
2については残念ながらあまり手つかず…。色々考えた結果、趣味である旅行と写真をベースにコンテンツをつくろうと思っているのですが、なかなかまとまった時間も取れず進んでいません。夏秋の陣はこれに集中的に取り組まないとと思っております。
3についてはかなり順調です。1月にモロッコ、2月にノルウェー、3月にスウェーデン、4月にギリシア、5月はオランダ・ベルギー、6月はハンガリー、スペインと順調に旅行を続けています。この中で新しく訪問したのはモロッコ、スウェーデン、ギリシア、ハンガリーの4カ国。夏休みにはイタリアに行きますし、秋にはポーランドともう1カ国くらいは攻めようと思っているので、目標達成は間違いなしです。だからこそこの活動を2につなげたいものです。
最後に4ですが、正直今1つ。なんとか授業にはついていっていて、オランダ人の同僚ともたまに遊びレベルでオランダ語を用いて会話なりチャットなりしてみるのですが、とても日常会話レベルとは言えません。オランダ語を勉強して何になるのかというのは常に自問自答するところではありませんが、趣味の異文化理解の一環として細々と続けていきたいと思います。
そんな感じで、目標を絞ったおかげで全然出来ていないということはなく、例年よりは順調かと。
2014年の目標もそうですが、今後3年〜5年のスパンで自分の人生を考えたとき、どういったアクションを起こそうかというのが最近すごく悩んでいる部分です。っていつも悩んで答えがでない類いの悩みなのですが。今、自分の中で次のような選択肢を考えています。
選択肢1:駐在期間が終わるまで会社に従事し続け、駐在後も同じ会社で働き続ける
(メリット)
- この先3年〜5年くらいはヨーロッパに滞在し続けることができ、かつ安定した収入と福利厚生が継続的に得られる
- 今の会社内での人脈や評価を強化することが出来る
- 余暇の時間にやりたいことが実現しやすい
(デメリット)
- いわゆる転職適齢期を過ぎるか過ぎないかのタイミングまで働き続けなければいけないため、チャンスを逃す可能性がある
- 自社内で要求される能力ばかり身に付いて、自社でしか活躍出来ない人材になりそう
- ずっと海外生活を続けないといけないので婚期を逃しそう
選択肢2:キャリアチェンジも見据えて、あと3年以内に海外の大学院に留学する
(メリット)
- 海外の大学で学びたいという夢をかなえることが出来る
- 海外の友人や人脈を増やすことが出来る(と思われる)
- その後ヨーロッパで職を探すことも出来るかも?
(デメリット)
- お金がかかる上に費用対効果が不明
- 再就職が出来るとは限らない
- そもそも心の底からコミットして習得したいと思える学問分野が見つかるかが不明
選択肢3:ある程度駐在して海外経験を積んだ後、帰国して別会社に転職する
(メリット)
- より自分の興味のある業種や、やりがいのある職場で働くことが出来る可能性がある。
- 地元の関西で働くことができる可能性もある
- 選んだ職場次第ではポータブルなスキルを磨いたり、キャリアアップ出来る可能性もある
(デメリット)
- 労働環境悪化、給料低下の可能性
- 職場を変えても結局やりたいことが出来ない可能性もある
メリット・デメリットもセットで書き出していましたが、結局は冒険してみるか安全パイを続けるかって話なんですよね。別に今の会社に不満はないし、このままの状況に甘んじてても問題はないし、むしろ欧州に会社のお金で住んで旅行もしまくれるという短期的なメリットはめちゃめちゃでかいのですが、一方で本当にそんな生き方でいいのか、人生は1回しかないんだよ?と自問自答する自分もいます。どうせ人間みな最終的には死ぬのですから、いろんなことを経験したいってのが自分の価値観でもあるんですよね。
そう考えると選択肢2が一番心の声に従うという結果になるのですが、でもデメリットに書いた通り、あこがれ選考で「これを勉強したい!」ってのがないんですよね。そうなると大学に言ってもふわふわしたまま卒業することになりそうですし、非常に難しい。
とはいえいつまでたっても決めない訳にはいけないので、残り半年で自分がどういった分野に興味があって、専門的な勉強をするならどういったことを学びたいのか、という点も本気で考えるようにしたいと思います。
というわけで、完全自分用の雑記でした。残り半分もがんばろー。
Coldplay これだけは聴いておくべき名曲14選
Coldplayの新アルバムにはまってしまったおかげで、久々にColdplay熱がきています。そもそも彼らの曲を初めて聴いたのは高校の頃。ちょうど『Rush of Blood to the Head』がヒットしていた時代。結局自分が彼らの曲を一番気に入っていたのはこの時代で、その前のアルバムの『Parachutes』もその後に聴いて大層気に入りました。
その後大学に入って『X&Y』が出て、社会人になってから『Viva la Vida or Death and All His Friends』と『Mylo Xyloto』がリリースされました。が、”Viva la Vida”は好きだったものの、なぜか社会人になってから少し音楽から離れていたこともあり、いまいち聴き込むということをしていなかった気がします。何より初期の2枚のアルバムが自分の中で完成度がかなり高く、とても好みのアルバムだったので、その後の3枚は曲の印象も変化して自分の好みからは少し離れてしまい、どうしても見劣りしてしまうという面もありました。
そんな中で今回の『Ghost Stories』を聴き、あまり聴いていなかった3枚も含め聴き直しているわけですが、良く聴いているとやはりどのアルバムも輝きを放っています。前置きが長くなりましたが、今までにリリースされた6枚のアルバムの収録曲の中からおすすめの曲を紹介します。
1. Yellow
自分の中で不動の名曲。1つだけ選びなさいと言われればこれを選びます。少し初期のRadioheadっぽさも感じる、良ポップ。
2. In My Place
こちらも超名曲。初めて聴いたときに鳥肌がたって泣きそうになりました。
Coldplay - In My Place - YouTube
3. Clocks
Rush of Blood to the Headの中でもひときわ存在感を放つアップテンポな曲。最初の前奏で曲の中の世界へ吸い込まれて行きそうになります。
4. Scientist
In my Placeばかりに目がいきがちですが、この曲も忘れないでほしい。サビがメロディ、歌詞含め超切ない。
Coldplay - The Scientist - YouTube
5. Speed of Sound
X&Yのリード曲。前作とは少し変わった印象の曲。でもかっこいい。
Coldplay - Speed Of Sound - YouTube
6. Fix You
これも超名曲。ゆったりとしたささやくような曲で、歌詞が何とも言えないほど素敵。「僕が君をたち直してみせる」の意。いろんなとこでフィーチャリングされててGleeでも歌われていますが、自分としてはO.C.の中で使われていたのがとても印象に残ってます。
Coldplay - Fix You [HD] - YouTube
ついでにO.C.も貼っておく。
The O.C. best music moment #15 - The O. Sea ...
7. Viva la Vida
今やColdplayの代表曲といってもいいのではというくらい有名で親しまれている名曲。Coldplay第二章の始まりという印象を持っています。ナポレオンについて歌っているという説もあったり。とにかく壮大な歌です。
Coldplay - Viva La Vida - YouTube
8. Vilolet Hills
Viva la Vidaの陰に隠れがちですが、実はこのアルバムからのファーストシングルらしい。PVで見るととてもかっこいい。
Violet Hill - Coldplay HD - YouTube
9. Hurts Like Heaven
最近の曲では大分好き。Coldplayでは貴重なノリの良い曲。ライブのはじめにやってほしい1曲。PVもアニメで面白い。
Coldplay - Hurts Like Heaven - YouTube
10. Paradise
ザ・Coldplayという感じの壮大な世界観の曲。最近のColdplayを象徴している気がします。
11. Charlie Brown
スヌーピーのキャラの名前まんまですが、特に彼のテーマソングとかではない模様。でも歌詞はそれっぽいです。
Coldplay - Charlie Brown - YouTube
あとはこの前のエントリーに書いたのでコメント省きます。
12. Magic
Coldplay - Magic (Official video) - YouTube
13. True Love
Coldplay - True Love (Official Audio) - YouTube
Coldplay - True Love (from Ghost Stories) - YouTube
14. A Sky Full Of Stars
Coldplay - A Sky Full Of Stars (Official audio) - YouTube
てな感じで、多くなりましたが名曲14選。
時間があるときにでも是非聴いてみてください!落ち着いた気分になりたいと気とかに、CD買って家でじっくり聴くのをお勧めします。
- アーティスト: Coldplay
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Viva La Vida Or Death & All His Friends
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Coldplayの新譜(=Ghost Stories)はかっこいいと認めざるを得ない
つい先日Coldplayが新譜を出しました。
アルバム発売前から新曲がウェブサイトでアップされてて、更新があるたびに覗いていたのですが、正直「Coldplayよ、お前もか…」という感想を抱いていました。一世を風靡したバンドって大体2、3枚アルバム出したら自分たちのワールドに入っていって、初期の頃とはガラッと曲調が変わってしまうんですよね。大学のときに大好きだったLinkin ParkもArctic Monkeysもすっかり曲調が落ち着いてしまって、初期の頃のような荒々しさは今の曲にはあまりありません。Coldplayはまた音楽のジャンルが若干違いますが、ウェブサイトで聞いたどの曲もしっぽりした…というか独特の世界観で静寂を歌っているような印象を受け、「なんかRadiohead化してきたな…そういうのあまり求めてないんやけどなぁ…」という風に感じてしまっていました。
というわけで新譜が出てもあまり買うつもりはなかったのですが、Mステにも出てたという噂を耳にし、一応高校のときからずっと聴き続けているバンドなのでちゃんと追わんといかんやろという思いからCDの購入に至りました。
そして今通勤中の車の中で聴いている訳ですが…
フルで聴いてみて最初の感想ががらっと変わってしまいました。
これはかっこいいと認めざるを得ない。
書いた通り曲調はとても静かで、落ち着いた曲ばかり。なんですが、音が深い。うまく説明は出来ないですが、アルバムを通して完全な世界が構成されているというか、今までもコンセプトにこだわったアルバムばかりなのですが、その中でも特に統制が取れているというか、聞き終わった後にまさに「Ghost Stories」という世界の中に取り残されたような感覚になるのです。
と書いても仕方ないのでとりあえず聴いてみてください。
こちらがアルバムに先立って公開されていた曲。モノクロのPVがとても良い。
Coldplay - Magic (Official video) - YouTube
次にMidnight。これはMagicより更に前に公開されてた気が。これを聴いてレディへっぽいなーと思ったのですが、改めて聴いてみるとすごくかっこいい。かっこいいという表現かは適切か分かりませんが、すごく丁寧に作り込まれた曲という印象。
こちらも落ち着いた感じでINKという曲。ショートバージョンですが、雰囲気を感じ取ってもらえるはず。
Coldplay - Ink (from Ghost Stories) - YouTube
そしてMステでも披露されたA Sky Full Of Stars。このアルバムで唯一アップテンポで、最近流行のEDMを意識したのか少し踊れる感じのノリになってます。
Coldplay - A Sky Full Of Stars (Official audio) - YouTube
最後に、自分がこのアルバムで一番好きなTrue Love。
"Remember once upon a time, when I was yours and you were blind"
というフレーズが大好き。この動画はショートバージョンですが、是非フルで聴いてもらいたい1曲。
Coldplay - True Love (from Ghost Stories) - YouTube
というわけで、Coldplayの新譜、『Ghost Stories』の感想でした。Coldplay熱が復活してきたので、近々今までのアルバムで好きな曲もまとめてみよう。