読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

世界は楽しみに満ちている。

ヨーロッパ在住の会社員の雑記帳です。ジャンル問わず好きなこと書いてます。

往復書簡(湊かなえ)の感想

読書

1年以上前に友人からプレゼントしてもらった本。3つの話が収録されている短編集ですが、1つ目しか読み終えてなかったことに気づき一気に読了。「告白」で有名な湊かなえさんの著書です。

往復書簡 (幻冬舎文庫)

往復書簡 (幻冬舎文庫)

 

 話が書簡形式で綴られるという珍しいタイプの小説。「告白」も登場人物が語り部となり物語が紐解かれていく形でしたが、この話でも同様に書簡が往復していくたびに物語が核心へと迫っていきます。どの話も全体的に根暗な話ではありますが。

収録されているのは、

  1. 十年後の卒業文集
  2. 二十年後の宿題
  3. 十五年後の補修
  4. 一年後の連絡網

の4つで、4つ目は3つ目の話のちょっとした補足のようなものです。2つ目の二十年後の宿題は吉永小百合主演映画の「北のカナリアたち」の原案となっています。


どれもかなり話に引き込まれましたが、個人的には「十五年後の補修」が印象に一番強く残っているような気がします。十五年間付き合いを続けている男女が、男の海外ボランティア参加をきっかけに文通を始めることになるのですが、その中で十五年前に起こった事件の全貌が明らかになります。シリアスな話なのに、手紙にはコミカルな要素もちりばめられていて、その辺りのバランス感覚が何とも絶妙でした。

「二十年後の宿題」も同様に引き込まれました。定年退職した女性教師から「ある事件」に関わった6人の近況を調べてほしいと依頼された男性教師が、1人1人と会い、ある事件の全貌を知るという内容。オチは何とも言えませんでしたが、話の終わり方は良かった。「十年後の卒業文集」も含め、今回の話は謎に包まれていた「事件」が往復書簡によって解明される、という内容で一貫しています。


ジャンルを「ミステリー」と書かれるとそうなのか?とも思いますが、ミステリアスな空気をまとった独特の雰囲気があることは間違い無しです。

読了後はちょっと暗い気持ちになってしまうかもしれませんが、ざっと読み通せるので空き時間にお勧めしたい1冊です。

 

同様に「告白」の方もお勧めです。これは日本にいた時に通勤電車の中で1日で一気に読み切ったのですが、インパクトはこちらの方が上。もし良ければ是非。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)