世界は楽しみに満ちている。

ヨーロッパ在住の会社員の雑記帳です。ジャンル問わず好きなこと書いてます。

英語はツールにしか過ぎないという当たり前の話

オランダで働き始めて以来強く感じるようになったことの1つに、「英語」というツールに対する位置づけの違いというものがあります。

一言で言うと、海外でビジネスをするに当たっては「英語」というのは専門知識でもなんでもなく、「一般技能」に分類されるものであり、言ってみれば自転車に乗れる技術みたいなもんなんですよね。

もちろんヨーロッパでも英語が苦手な地域というのはあって、例えばスペインとかの南の方に行くと英語が通じなくて困るということが良くありますが、国境を越えて仕事をするビジネスマンで私英語話せませんとか苦手ですと言ってる人は見たことがありません。むしろ英語を話せるのは当たり前で、それに加えてフランス語が話せます、ドイツ語が話せますと言った世界。

翻って日本はどうでしょう。海外の支社とコンタクトを取る必要性がある機会が多いにも関わらず英語が不自由で満足にコミュニケーションが取れない社員、たくさんいるのではないでしょうか。メールは出来ても、電話とか会議はちょっと…って言う人もとても多いと思います。

ちょっと前に「日本人の9割に英語はいらない」という本が流行りました。この本実は自分読んでないのですが、確かに全人口で考えると9割の人は英語を話す必要が特にないかもしれません。しかしながら、英語が必要である1割、2割の人がグローバルで見た時に他国に比べて英語力が著しく劣っている(と思われる)点はやはり課題だと感じるのです。

一番不思議なのが、ビジネス英語と言えばTOEICでしょうみたいな良く分からない風潮。ある程度の物差しにはなるかもしれませんが、英語力ってペーパーテストでは測れるものではないです。自分はTOEICは895点ですが、最近こそ慣れつつあるものの最初は現地社員とのコミュニケーションは必ずしもスムーズではなかったですし、今でもイギリス訛りの英語が苦手で全然聞き取れません。逆に周りに900点以上の人たちはたくさんいますが、その中には実践の場面では自分より英語出来ない人もいますし、満点でも満足にコミュニケーションが出来てるかと言われればそうでもないのでは?と思ってしまう方もいます。

一方で、ヨーロッパの人たちは全員が全員流暢というわけではありませんが、コミュニケーション力は日本人より断然あるなーという印象を受けます。これは英語力というより国民気質の問題(日本人は概して内気で物事をはっきり言わず曖昧にぼかすので話が進まない)もあるのでしょうが、ペーパーテストで点が取れても全然意味ないなと思うのはまさにそういった場面です。

最近は日本人の若手でも帰国子女の人たちも増えてきているのか、ネイティブ並みの英語を操る人たちと一緒に会議をしたりすることもあります。そういった人たちはヨーロッパ人よりも英語が上手く、コミュニケーションという点では全く問題ないのですが、だからこそ知識が少なかったり経験が乏しいと思わせる発言や挙動をしたときにとても目立って感じてしまいます。これも良く言われる話ではあるのですが、結局英語を身につけるだけでは意味がなくて、それよりもしっかりと自己主張することや、ビジネスをやっていける知識やスキルを身につける方が結局は重要になってくるんですよねー。

従って、日本人は今すぐペーパーテスト重視の変な傾向をストップして、コミュニケーションを重視するような考え方に変わっていくべきで、学校教育なんかもそういう風に変わっていかなければいけないと切に思います。

みんな英語英語って言ってるけど、上述したような自己主張する能力や、現地に溶け込みながら仕事を回していけるエネルギーやリーダーシップの方がずっとずっと大事で、それさえあればTOEICなんて600〜700点くらいあれば海外でも何とかやっていけると思います。(ペーパーテスト偏重は駄目とか言いましたが、理想的には下地の英語力としてやっぱこれくらい取れるくらいの知識は欲しいです。)自分の同期で英語全く話せないままヨーロッパに駐在になって、今も満足には話せないけど、持ち前のバイタリティで現地社員を引っ張っていってる人とかもいるので、やっぱりそういうことなのでしょう。

あともう1つ感じるのは、発音はネイティブに近い方がカッコいいけど、日本語アクセントもオリジナリティがあるので、その矯正に時間をかけるならどんどん話す練習をした方がいいんじゃないかなーと思います。実際ヨーロッパの人たちはそれぞれの国の母語の訛りがすごく残ってますし。第一アメリカ英語とイギリス英語って全然発音違いますやんっていう。

というわけで、英語に関する雑感でした。

 

日本人の9割に英語はいらない

日本人の9割に英語はいらない