世界は楽しみに満ちている。

ヨーロッパ在住の会社員の雑記帳です。ジャンル問わず好きなこと書いてます。

これからの日本を変えていくのはいまどきの若者なのです

自分は今年で27歳になりますが、同年代でも本当にいろいろな人がいるもので、世界一周旅行中に起業してスペイン語のオンライン会話教室を立ち上げた人たちがいるみたいですね。

世界一周中に起業、26歳の若者がスペイン語オンライン学習事業を始めたワケ


起業したのは日本ではなく、なんとグアテマラスパニッシモというオンラインスペイン語会話教室で、グアテマラの現役スペイン語講師と会話をしながらスペイン語を学べるというサービスのよう。

何でまた海外旅行中に起業を・・・と思いましたが、もともとは自分たちの可能性を追求するために海外へ飛び出したのが始まりで、グアテマラで受けていたスペイン語レッスンから着想が膨らみ始まったみたいです。取材を受けている二人はそれぞれリクルート外資系メーカー出身とのことですが、 型にはまった働き方にとらわれず新しい世界へ飛び込んでいける勇気を、同年代としてすごいなーと感じます。

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統計データを持っていないので正確なことは語れないですが、自分たちの世代を客観的に見てみると、あえて大企業ではなくベンチャー企業を選んだり、ある程度働いてより自分に合った方向へキャリアチェンジをしたり、ビジョンの実現のために起業をしたりといった人たちが増えてきている印象を持っています。米国では大きな企業に勤めるよりシリコンバレーなどでベンチャー企業で働く方がクールだと見なされたり、ビジネス家よりむしろ社会企業家が流行していたりするという話を聞いたことがありますが、日本も徐々にこの傾向に近づいてきているのではないかなーと感じます。これからの時代、どんどんそういった選択をする若者が増えてくるのではないでしょうか。 音楽と同じで、アメリカの流行は数年遅れで日本にやってくる…はずです。

よくメディアで『若者の内向き志向』が取り上げられますが、自分はいつもその報道に違和感を感じます。この事業を立ち上げた二人のような人材はネット界隈をうろうろしていると良く見かけますし、身の回りにも夢に向かって日々邁進している人は多いです。もちろん、海外にでていく人もたくさんいます。 というか、米国以外の留学生を含めるとむしろ日本人の留学生の総数は増加しているのです。二極化しているという議論なら理解出来ますが、全体をくくって『内向き』と称するには違和感が拭えません。

ではなぜ若者が『内向き』と揶揄されるかというと、二極化してる一方がクローズアップされて叩かれているというのももちろんあるのですが、それに加えて一回り上の世代との微妙な価値観の差異が、彼らをどこか不快な気分にさせてしまっているのではないかと考えています。

モノの豊かさにあふれるこの世の中、若者の価値基準は間違いなく『なにを持つか』ではなく、『なにをするか』にあります。マズロー欲求段階説でいうところの自己実現の欲求に関わってくる話ですが、今までは『モノ』という目に見えるモノを身の回りに増やしていくことで自分らしさや豊かさを感じることが出来ていましたが、すべての『モノ』がコモディティ化しつつある今、若者が求めるのはモノ』ではなく『意味』です。自分が行うことの『意味』、あるいは自分が存在する『意味』が重要なのです。

一昔前までは出世をしたり、海外駐在することが一つの価値であり、ステータスでした。しかし、それらを経験したとしてその先にいったい何があるのか。大企業で上までのぼりつめてふんぞり返っている重鎮をみても、若者の心はときめきません。自分がどれだけ地位が高かろうが、この世の中ではいつそれがひっくり返るかも分からず、それだけでは心の充足につながらないことを若者たちは知っています。また、この世界には多種多様な価値観が存在していて、日本だけではなく世界中に活躍の場が広がっていることも知っています。だからこそ、『自分探し』に象徴されるように、この決まった型が存在しない社会の中で、本当に自分たちが満足して生きられる方法を探すのです。

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このような若者を大人たちはワガママだと感じるでしょうか?

確かに、社会に何も貢献せず自分の残像ばかり追っているような人たちはワガママかもしれません。でも、暗中模索して本当に自分が『価値がある』と思えることと向き合えた人ほど強いものは存在しません。 そしてそれは、大企業の出世ルートにのって日々の雑務をこなしているだけではなかなか見えてこないものです。

スペイン語会話を立ち上げた二人は、『挑戦こそ自分たちの価値』と捉え、世界を回りながらチャレンジを続け、一つの成果を残すことができました。そしてこれから日本を変えていくような人材は、こうした草の根での活動の中から生まれてくるのだと思うのです。 私見ですが、もはや旧式の大手日本型企業が再び一世を風靡することはおそらくないでしょう。これから世界を変えていくのは、Facebookしかり、Googleしかり、いまどきの若者によって立ち上げられた「人々に『価値』を与える」サービスです。(Steve Jobs氏が行ったのもまさに『価値』を与えるという行為ですね。)

日本の将来のことを考えるのであれば、メディアや頭の大きな大人たちは無用な『若者論』を繰り広げるのではなく、こうした将来への可能性を持った原石を磨きあげることに尽力すべきです。

ちなみに、若者論に対しての考察については下記の記事がおもしろくてオススメです。

「最近の若者は内向きだ」仮説の誤謬
「グローバルネイティブ」たちがやってくる


以上。