新世界より
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/14
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■ 貴志祐介に初めて挑戦してみた
新聞か何かで紹介されてたのがきっかけで購入したみた本書。
めちゃめちゃ面白かった。圧倒的な世界観と練り尽くされたストーリー。構想30年とかほんまかいと思ってたけど、この内容なら納得です。
舞台は現代から1000年後の日本。呪術と呼ばれる念動力を持った人間が統治する町から物語は始まる。主人公の手記という形で綴られる物語は子ども時代から始まり、思春期を経て大人へと成長する過程で経験する冒険、友との別れ、そして異種との戦争が臨場感を持って描かれます。その雰囲気は少しハリーポッターと近しいものを感じますが、読了感は全く別ものです。
■ とにかく世界観が凄い
秀逸なのが1000年後の世界という視座に立って客観的に現代社会を語るときの台詞。何故古代人は同じ人間を殺すことが出来るのか…何故古代人は罪悪感を感じることもなく大量の人を殺戮する破壊兵器をつくりあげたのか…野蛮人として描かれる我々の姿に出会うたび、背筋が震えた。 ありえない話のはずが人間の習性を考えるといずれこの本で描かれるような世界に行き着くような感覚に陥り、少し怖くなりました。
しかしながら何と言っても醍醐味は、冒頭にもあげたこの圧倒的な世界観。自分たちにはおよそ想像も出来ない未来の世界が、見事なまでに緻密に描写されています。独特の生き物がたくさん登場するのもこの話の特徴。終始漂う不気味な雰囲気はきっとこの生き物たちが創り出す独特の空気のせいかとも思いました。
■ とにかく読み出すと止まらない。特に中巻と下巻。
上巻は時間をかけて読みましたが、中巻と下巻はページをめくる手が止まらず1日1冊のペースで読み込んでしまいました。SFやミステリー好きにはとてもオススメ。でも、ホラーとかグロテスクな話が嫌いな人には向かないと思います。
以上。