世界は楽しみに満ちている。

ヨーロッパ在住の会社員の雑記帳です。ジャンル問わず好きなこと書いてます。

本を読む本

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

■ 本を読むときに何を意識していますか

いきなり個人的な話ですが、去年から継続して自分に課しているテーマとして、『もっと読書の質をあげよう!』というスローガンがあります。2012年は更にそれにドライブをかけようということで、前々から気になっていた「本を読む本」をようやく手に取り読んでみました。言わずと知れた世界的ベストセラーですね。読書という行為の本質に迫り、一冊の本との向き合い方、そして読み方について細かに解説した本です。

普段本を読むとき、自分は要点を拾い上げて点と線で知識を得るというのが自分のスタイルだったのですが、それでは本を楽しむことはできても勉強することはできないなーと一読して思いました。読書という行為は、点とか線ではなく『箱』で知識を吸収するものなのでは、というのが気づきの1つです。

■ いろいろな読書方法

本書で紹介されている読書の方法(分類)は下記の4つです。

1) 初級読書
2) 点検読書
3) 分析読書
4) シントピカル読書

後ろにいくほど高度な読書法となり、場面によってこれらを使い分ける必要があると説かれています。

初級読書はとりあえず何が述べられているかを理解する読書、点検読書はその本が何についての本か、どういった構成•論理展開になっているかを拾い読みする読書、分析読書は頭を使い本と対話するかのように質問と回答を繰り返すことで本の内容を血肉とするような読書、シントピカル読書は同じテーマで複数の本を読み、多角的に論考を分析する読書の方法。こうやって分類すると何やら難しい感じがしてきますが、身近な言葉で例えると、

1) 流し読み
2) パラグラフリーディング
3) 精読
4) 研究

って感じでしょうか。厳密には少し異なりますが、自分の感覚としてはこうです。

■ 要は頭を働かせろの一言に尽きる

『本を読む本』というタイトルは一見ハックのようなノウハウ本に捉えられがちですが、内容は非常に論理的で濃いです。読みやすいビジネス書に慣れている人は少し固く感じるのではないでしょうか。

『積極的読者になれ』と本書中にもありますが、要約すると『頭を働かせろ』の一言に尽きます。受動的に本を読んでいると次々と言葉が入ってくるだけで何も蓄積できませんが(=初級読書)、その本がどういった論理構成で何を伝えたいのか、反論できるポイントは何か、などという点に注意していくとよりアクティブな読書になるということです。そうするためには、まずは目次を見て概要を掴み、章の最初と最後に注目して著者が何を言いたいのかを理解する必要があります。

最初に『箱』で知識を吸収すると述べたのはまさにそのことで、数学でいうと公式だけではなくそこに至るまでの証明もちゃんと覚えなさいよと。学んだ内容を頭の中にフレームワークで整理することが出来ればより知識がついてくると思うので、読書をするときは全体を見るという視点も忘れないようにしなければと思った次第であります。

以上。