世界は楽しみに満ちている。

ヨーロッパ在住の会社員の雑記帳です。ジャンル問わず好きなこと書いてます。

僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい

■ たまには啓蒙的な本を読んで気分をアゲる必要がある

自己啓発本(定義は曖昧ですがここでは精神論を説くビジネス書と定義します)を読むと、大概読んだ時はやるぞーって燃えるのですが、しばらくすると読了後の情熱が冷めてきてしまい結局今までと大して変わり映えもない日々を送ってしまいがちなんですよね。いわゆる自己啓発本の罠だと思うのですが、読んで勉強になったーって思ってそれで終わってしまう。そこに書かれていることは実践しない。そんな日々が続いたので最近はマインドを説く自己啓発本を買うのは控えて出来るだけ実践的な本を読もうと心がけていたのですが、そういった本は大概重いので読んでくうちに疲れてきて、読書のペースが落ちてしまうことに気づきました。

そこではっと思ったわけです。やっぱり本って言うのは並行読みが一番効率がいいんだなーと。ちょっと軽めの本を読んで気持ちをアゲて、それで重い本を真剣に読み込んで、疲れてきたら軽めの本に戻るというサイクル。それがきちんと回れば仕事にもポジティブに取り組める。そんなことを思いつき、まずは最近沈みがちな自分のマインドをアゲることから始めよう!と思い立ち、最近話題の瀧本氏の本を手にした次第です。

■ 武器とは何か

前置きが長くなりましたが、「僕はきみたちに武器を配りたい」を読んだ感想をば。

本書でいう『武器』とは、この競争社会の中、各人が生き残るための『ビジネスマインド』のことです。グローバル化、社会の成熟化に伴う仕事や人材のコモディティ化を指摘した上で、いかにしてビジネスで活躍していけるか、そのマインドが説くというのが趣旨。

一般的にビジネスでの『武器』は『英語、IT、会計』と言われますが、これらは『奴隷になるための武器』であり、不安解消マーケティングの産物でしかない。それよりも重要なのは自由になるための『リベラルアーツ(教養)』であり、蓄積した素養を武器に、コモディティにならない働き方を追求していかなければならない。要約するとそんな感じでしょうか。

『武器』というのは非常に良いワードチョイスですね。本書で再三叫ばれているのが『コモディティ化』という現象と『資本主義社会』という現実なのですが、この激しい競争社会を勝ち抜くためにはまさに『武器』が必要。個人的には競争を勝ち抜く『武器』とは、つまるところ『自分の頭で考え付加価値を生み出す力』だと思っています。本書にもありますが、「誰でも出来る」仕事がどんどん機械や新興国の労働者へと置き換えられていく中、そういった代替手段では実現出来ないことが先進国で働く労働者にはますます求められてきます。とりあえず上司や会社の方針に従うだけならアルバイトでも出来ます。あの手この手を尽くして他の人には真似出来ない付加価値を生み出せる人がこれから生き残っていける人材なのでしょう。

■ 我々はいかにして武器を磨いていくべきか

「付加価値」を生み出せる人とは非常に曖昧な言葉ですが、自分がイメージしているのは本書中に出てくる

「マーケター=商品にストーリーを乗せて顧客の需要を満たしていく人たち」
「イノベーター=既存のものを掛け合わせて新しいものを世に送り出せる人たち」
「リーダー=クレイジーだけど人をマネジメントして大きな成果を生み出せる人たち」
「投資家=視座が長期的かつ大局的でリスクとリターンの感覚に優れている人たち」

といった働き方ができる人たちです。

ただ、一朝一夕でこういうことが出来るようになれるわけがない。先に出た『英語、IT、会計』もあればプラスにはなるかもしれませんが、それらに精通している人なんか山ほどいるので自分だけの『武器』とはいえない。こういった特定の場面でしか活用出来ない知識は、そのうちコモディティ化してしまいます。合間勉強に付け焼き刃でつけた知識であれば尚更です。競争社会で生き残るためにはそういった構造をきちんと理解し、置き換えられない自分だけの価値を追求していかなければならない。

とはいえこの本で述べられるのはあくまでそういった『ビジネスマインド』だけで、読書で得た武器を日々実践し、磨き上げられるのは個人次第です。具体的に明日から何をしろという言及がないのがこの本のミソで、この本を読んで自分で考えて行動出来る人こそが脱コモディティ化できる人材なのだと思います。

以上。